研修3日目:まだ折り返しにも届かず
朝起きると、まだ3日目という現実に気が滅入る。ホテルの部屋は静かすぎて落ち着かず、テレビをつけっぱなしで眠る夜が続いている。
朝食は相変わらず軽く済ませる。パンと卵程度を口にして、バスで次の工場へと向かう。毎回同じように、一番前の空いている席に座るのが定番となった。
バスに揺られて1時間。車窓からは田んぼや山が広がり、のどかな風景が続いていた。何もない土地にぽつんと建つ工場を見ると、不思議と心が落ち着く。出身が田舎であるためか、こうした環境に対して安心感を覚える。
配属は5月に決まる予定だが、都会よりも田舎に行きたいという気持ちが強くなってきた。同期の多くは「都会がいい」と話していたが、自分には田舎のほうが合っている気がする。
自動化された現場・静かな工場
3日目の工場見学も、昨日と同じく自動化が進んでいた。汗だくで作業しているようなイメージとはかけ離れており、音も少なく整然としている。
人が少ない現場では、逆に人との関わりが重要になる場面もあるのかもしれないと考える。高校時代に町工場でアルバイトをしていた経験があるため、工場の雰囲気自体には慣れていたが、大規模で自動化された工場には別の魅力がある。
大学卒業者が配属されるような工場では、資金も豊富で最新の機械設備が導入されているのだろう。
この日も誰とも特に会話することなく終了したが、不思議と「一人でいること」にも慣れてきていた。
田舎で働くという選択肢
3日目の見学を終えた頃には、将来の働き方について考える余裕が出てきた。都会での通勤ラッシュや人間関係の複雑さを思えば、田舎で静かに、ものづくりに携わる生活も悪くない。
慣れてしまえば孤独も気にならない。むしろ、自分の時間を大切にできる環境は魅力的だとさえ感じた。
4日目:ロボット実習と感動の瞬間
4日目はこれまでとは異なる工場へ移動し、実際に製造しているロボットの動作実習を行った。
今までは「見るだけ」の見学だったが、今回は自分の手で動かすことができ、初めて製品の奥深さに触れた気がした。
機械が動く様子を目の前で見ると、それだけで感動する。自分がこの仕事に関われるのかはまだわからないが、「人の役に立つものを作る」ことに関われるのなら、それはきっとやりがいのある仕事になるだろう。
5日目:テストと発表、そして気づき
最終日の5日目は、これまでの研修内容をまとめるテストと簡単な発表があった。特に話す相手がいないまま過ごした5日間ではあったが、終わってみれば悪くなかったと思える。
孤独に苦しんだ1日目、無言の食事、そして気まずい沈黙。それでも3日目を過ぎた頃から、それらを“当たり前”として受け入れられるようになった。
今回の研修で、自分がどんな場所で、どんなふうに働きたいかを少しだけ見つけることができた。人と無理に馴染まなくても、自分に合った環境でやりがいを見つけられるかもしれない。
では、また
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